#138&139は下重暁子さん

下重さんはNHKのアナウンサー出身。
入局が1959年で、放送作家協会設立の年ということでご縁を感じます。
「錚々たる作家が当時、NHKの放送台本を書いてましたよ」と、五木寛之さんや、野坂昭如さん、立原えりかさんなどのエピソードも披露してくださいました。
『夢のハーモニー』というラジオ番組では、下重さん自作の詩や物語を台本に書いて朗読。
それだけに台本の大切さに理解があり、放作協の脚本アーカイブズ活動についても「意義あること」とあたたかい言葉をいただきました。
「生放送でしゃべっていた習性で、いきなり原稿用紙にペンで書いても、予定の字数にきちんとおさまるのね」という一方で、「過去半年間のエジプト滞在で時間に対する観念が変わった」とも。
現代人は「いつまで」と予定を立てて行動するけど、広大な砂漠の生活にそんなしばりはないと知ったのです。
「粘り強く取材し、綿密に検証を重ねるノンフィクションが書けるようになったのも、終わり無き時間の忍耐を克服できるようになったから」と。
今後はこの経験の上に立って、フィクションにも力を入れていくという下重さんは日本ペンクラブ副会長でもご活躍です。
九月二三~三〇日まで開催される国際ペン東京大会 2010はテーマが「環境と文学 -いま、何を書くか-」も興味深いイベントです。
相手を重んじ、配慮を欠かない礼儀といった放送人・作家として培った言葉がたくさん心に浸み入った学びの多い二週間でした。